t-yosh’s blog

元ソフトウェアエンジニアが、モノづくりについて学んでいるブログです。モノづくりに必要なハードウェア・ソフトウェア・デザインのことを書いています。

水漏れセンサー 保守編

水漏れセンサーの保守関係

 

たまに動かなくなっている時があるという連絡を受けた。不可解な動作としては以下があるということを聞いた

(1) ディスプレイの表示がおかしくなっている時がある。

(2) ディスプレイ表示がおかしい時、動作していない様に見受けられる。

(3) 電源をON/OFFすると直る。

 

<ハードウェア>

信頼性を上げるために中継基板起こし。

今回、seeedで頼んでみたんだけど、インターフェースが良いので注文しやすかったです。最近、Eagleの中に基板作成のためのGerberを作成するツールが追加されていて、楽になったんですが、seeedのサイトだと、データを上げたあとにGerberファイルをチェックできる画面に飛ぶので、ここのステップも楽でした。(いつもはGerber Viewerというサイトで最後に確認していた。)

 

f:id:t-yosh:20190329002415j:plain

<ソフトウェア>

一日に一度再起動するプログラムに変更したところ、I2Cの読み込みと書き込みに失敗するような動作になってしまった。

色々調べたところ、新しいesp32のライブラリにした時の、Wireライブラリの動作が変っていた。(arduino-esp32 ライブラリ stable版 1.0.1 )

具体的には、以下のPCAL9555APWのサンプルコードでWire.requestFrom(id, datasize,false ) を呼ぶとI2Cのコマンドの読み込みが動かなかった。(波形を見ると読み込みの信号が出ていない。)

 

trac.switch-science.com

 色々確認したところ、Wire.requestFrom()の引数の動作が変わったようでした。

void dataread(int id,int reg,int *data,int datasize)
{
Wire.beginTransmission(id);
Wire.write(reg);
Wire.endTransmission(false);
Wire.requestFrom(id, datasize, false);
for(int i=0;i<datasize;i++)
{
data[i] = Wire.read();
}
Wire.endTransmission(true);
}

 

Wire.requestFrom()関数の第三引数はstopbitを送るかどうかなのだが、Wire.requestFrom(id, datasize,true)にすると読み込みできるようになりました。Wire.requestFrom(id, datasize)でもOKで、ソースコードを見ると引数がない場合はstopbitを勝手に入れるみたいでした。

 ↓ 読み込みデータが戻るように直ったところf:id:t-yosh:20190203223355p:plain

 

ソフトウェアのバグはコードだけでしばらくデバッグしていたのですが、やはりオシロで信号当たったほうが問題の特定するのが早かったです。

 

hardware is hard なイベント

f:id:t-yosh:20190223210725j:image

久々のブログ更新です.先週の2/14にYahoo ロッジで行われた高須さん司会のイベントです。

今回は、元CEREVOの岩佐さんが来るということで参加しました。

ハードウェアスタートアップの方の話もあり、実際に量産を経験した人たちから 色々な話を聞けました。印象に残った情報を記しておきます。

 

<量産前提なら、ラズパイで試作しないで、NanoPiで試作したほうがよい>

これは量産移行時に大きな違いとなる選択で、ラブパイはブロードコムのチップを使っていて、NanoPiはAllWinner のチップが載っています。

他の部品にも言えることかと思いますますが、深圳のエコスシステムを考えると部品の供給事情が違いすぎる、という話でした。ブロードコムはMOQが10000とかになってしまうし、中々扱ってくれる工場が少ないとのこと。一方Allwinnerは小口で扱っている部品やさんも多く、量産したときに最適な部品の調達が可能とのこと。

 

<デザインハウスのSOMか、自前の開発か?>

深圳のデザインハウスをうまく使うのがコストを抑えるポイントになるという話を前に聞いていたのですが、その方法論にマッチするのはある程度コモディティ化された機能をもつ製品のようです。というのも、デザインハウスはハンドルすることは難しいし、SOMは2年位でディスコンになったりする。高周波とか多層回路の技術者がいれば自前で作るというのも悪い方法でないこともある。

 

<深圳の工場と付き合う時の心構え>

・見積もりに関しては初回の見積もりから1.5-2.0倍になると思え。

コスト増と聞くと印象悪く思うこともできるが、きちんとお金を払えば彼らもきちんと動いてくれるし、プライドもあるのか、余計に良くしてくれたりする場合もあるらしい。要は最初にリスクとして考えていれば事がうまくいく。

・チャイナサプライヤの不良率は普通に高い

チャイナサプライヤはコストが安いが不良率が高い。これは考え方しだいだけど、不良品はチェックしてはじけばよいという考えもある。

(金属部品の中にスが入っていて強度が弱くなっている、などのすぐにわからない不具合などはだめだけど。) 目視で分かる、とか、最終工程ではじける不具合であれば、結果的に価格が下がる場合はよくある。

筐体を真っ白にしたい時とかははじいて選別するのはよくやっているようです。

 

<深圳での日本企業の雰囲気>

視察に沢山来ているようだが、見学だけで何もおこらないケースが多く、深圳の工場から見て相手にされない雰囲気になってきている。

 

<ハードっていいよね>

最近、色々なところで聞く「ハードウェアisHard」ですが、なんでやるのか、という質問については、やっぱり実体をもって触れるものが好きだから。

製品ができて、ソフトを書き込んで、火入れをするタイミング、動いた時の感動、完成して泣いた。などなど。

岩佐さんは苦労してきた印象より楽しんできた印象です。と言い切っていて、聞いていてすごい気持ちがよかったです。

 

深圳の量産を経験した先達が出てきて、知見がたまってきたので共有しよう、ということが会の趣旨です、といことを言ってくれていて、ほんとに勉強になります。自分も色々勉強してきて、そろそろ金型や中国サプライヤを使った製品開発に乗り出そうと思っていますので、これからのHardware is hardを楽しんでいきたいと思いました!!

 

 

 

 

はじめの一歩を踏み出そう マイケル・E・ガーバー

 

f:id:t-yosh:20190103155206j:image

前に読んだ「成功者の告白」が面白かったのですが、amazonで関連本で出てきて気になった本を読みました。

気になったフレーズをメモしておきます。

 

「自分の描く将来像から自分の現在の姿を決める」

IBMのトムワトソンの視点として紹介されてました。将来自分の会社をどのような姿にしたいのか、という目標から今するべきこと、あるべき姿を逆算する。という発想。

将来の姿をはっきりイメージすることで、やるべき事を決めていくということですね。直近で生じている事象から今やることを決めるのではない。

 

「事業のパッケージ化」

スモールビジネスを成長させるためには、事業をパッケージ化する。

この本では、ドーナツ屋さんを開業した方が、その事業を拡大させていこうとすることで理想とは裏腹に仕事に追われて辟易としているところから始まりますが、何故そういった状況に陥ってしまうのか、というところから、自分ができることを他の人ができるようになるように切り出していく必要性があるという話で進んでいきます。

事業というものとして成長させていくために事業のパッケージ化が必要であり、それは自分以外の人が勝手にやっていけるようにすることとあります。

 

「数値化する。」

事業を進める中で、あらゆる事象を数値化してとらえる習慣をつけること。日々の活動を数値として記録し、分析することを当たり前にやる必要がある。起っていることを客観的に分析できてこそ成長できる。

 

「必要最低限の労力で実現する。」

これは自分だけがやっていた作業をマニュアル化する話ですが、必要最低限の労力で行えるようにシステム化することが重要。

 

「現場レベルでの裁量の自由化を否定する。」

作業のマニュアル化とは、誰が作業しても同じ品質を持たせる必要あり、それは裁量が入らないようなものにすることで品質が安定するということ。

 

最近の自分の仕事でも、ものの用意や、システムを組み立てるために必要な作業をパッケージ化するところをやっていたので、心構えとして参考になるところがいくつかありました。単純に作業をパッケージ化するというところの前に、その作業の方針に一貫性があるか、企業の思いを伝えるのに必要なことなのか、といった点を前提にしてのパッケージ化だ、というところは参考になりました。

 

 

AXIS 人とテクノロジーの未来

f:id:t-yosh:20181108015343j:plain

昨日、AXISのイベントに参加してきました。山中俊治さん x 寺尾玄さんの対談です。

2017年4月に寺尾玄さんのAXISのイベントにも行っていたのですが、あれから1年半も経ってしまったのにビビりました。振り返ると時が経つのは早いものですね。

山中俊治さんは本で名前を知っていて気になってたのですが、寺尾さんよりもさらに先輩でした。

題目は「AIとテクノロジーが未来」でしたが、実際にはAIの話なんかは挙がりませんでしたね。

寺尾さんの話での印象ですが、まずバルミューダの会社体制はかなり安定してきたんだなという印象を受けました、前回は会社としての体制を整えることに注力している感じでしたが、今回は会社の社会的意義や果たすべき使命のような話の印象が強く感じられました。

挙がった内容で面白かった話

< 結局 BALMUDA トースターは何だったのか?>

トースターの訴求として、最高のトーストを食べたいですか?という体験を全力で前に

押し出した販売戦略をとってきて、今もその思いは変わらない。

じゃあ、逆にトースターという商品は何であったのか?

これはトーストを最高においしく食べる方法を開発した、という経験だった。

体験を作りだす方法を開発するという考えは、油断すると手段が目的になることがあるので、心構えとして良いなと思いました。

<日本の大企業病>

安定して生産できる堅牢なシステムがメーカにはすでに出来上がってしまっている。そのため、新しい技術をそのシステムに乗せようとしても、失敗を許さないシステムにより、自由な発想での挑戦ができない。これは日本の老舗メーカーの現状。

ダイソンにその話をしたら、大変驚かれて、失敗しなかったらいい製品作れないじゃん、と言われたそうです。(山中さんからのお話)

<量産という仕組み>

現代は量産する手立てが色々ある。これはある作品がより多くの人を感動させることができるために非常に有効な手法として存在する。

多くの人に価値を提供するために最適な方法。感動を再現できるということで価値が世間に広まっていく。

<再現性>

量産という手法で価値を再現してユーザに届けるのだが、再現性というところはモノづくりの上では100%はありえない。90%がせいぜいだということ。研究であれば100%を求めると無限に研究できる。

例えば、トーストを買ってきても、密度や水分量が異なっていたりして、全く同じものがそもそも世間に売っていない。なので、色々なパラメータを決めるとき、制御できる範囲、できない範囲をわきまえて、必要十分なターゲットを決めるのは大事。最後を決めるのは人間の感性。

ものづくりは、最終的には感性でものごとが決まるのだが、最高の感動を求めるには科学による検証が必要なんだ。という話が印象的でした。

現象に対する理論や原理を勉強した上で、可能性のあるパラメータをいくつも検証していく。科学に基づいた検証により、感性に響くものを追求していくプロセスによって良い製品ができる。

<インプット>

山中さんは、モノをよく観察することは気を付けている。普段見るだけでは細かいところまでは観察できない。スケッチすることで、モノを細部まで知ることができるので、スケッチはものを記憶するためには非常に良いツール。

寺尾さんは、インプットは意識的にそのために何かはしていない。毎日を全力で生きることが大事。道を歩けば、様々なものを見ているので、何かしらインプットがあるのは間違いない。大事なのは生活の中での違和感をキャッチし見逃さないこと。

 

 

電子ポット 分解 2/3

電子ポットの分解の続編です。

f:id:t-yosh:20181020022202j:plain

 

蓋を分解していきます。 

f:id:t-yosh:20181020022246j:plain

 

見えているネジを外すとこうなります。

f:id:t-yosh:20181020022324j:plain

内蓋

f:id:t-yosh:20181020022508j:plain

内蓋と蓋ははめ込みになっています。

f:id:t-yosh:20181020022550j:plain

蓋の部品の構成、電子ポットとしての蓋を外すための機構があります。

f:id:t-yosh:20181020022623j:plain

 この部分のはめ込みは押し込むとはまるようになっていて、サイズ感が絶秒です。

f:id:t-yosh:20181020022754j:plain

お湯の出口を開閉するボタンはバネとはめ込みの機構で、押すたびに開、閉となるようになっています。

f:id:t-yosh:20181020022840j:plain

f:id:t-yosh:20181020023025j:plain

押し込んで離すときにメッキされた押しボタン部分が少し回転して溝にそって上下するようになっています。

f:id:t-yosh:20181020023247j:plain

お湯の出口の経路がわかります。

f:id:t-yosh:20181020023436j:plain

取っ手の部分を分解するとケーブルが格納されています。スイッチ部分とはコネクタでの接続になっていました。

f:id:t-yosh:20181020023621j:plain

f:id:t-yosh:20181020023700j:plain

スイッチのポット内部側には蒸気を取り込むゴムのパーツがあります。f:id:t-yosh:20181020030624j:plain

スイッチ部を取り外したところ。

蒸気がスイッチ内部に取り込まれるようになっています。

f:id:t-yosh:20181020023807j:plain

 

スイッチ部の中身

f:id:t-yosh:20181020023827j:plain

スイッチ部は押し込む先に金属のパーツがあります。

f:id:t-yosh:20181020023933j:plainf:id:t-yosh:20181020024005j:plain

この金属の板は温度で形状が復元するものでした。スイッチオンで形状が変わるのですが、ポットのお湯がわいたときに金属の元の形状に戻るので、そのタイミングでスイッチが切れます。お湯が沸いたことを知らせてくれる機能は、実はアナログでびっくりしました。蒸気の取り出し口からこの金属に向けて水蒸気があたるようになっているので、蒸気の温度で形状が復元されるようです。

f:id:t-yosh:20181020024136j:plain

形状記憶金属板がポットのスイッチに使用されているのは驚きました、温度検知という仕組みではこういった形状記憶金属がスイッチに使用されるんですね。

3/3でポットの本題部分を載せていきます!!

 

 

 

 

電子ポット 分解 1/3

f:id:t-yosh:20181017031816j:plain

久々の分解は少し大物です。壊れてしまった電子ポットです。

では土台のほうから行きます!

 

f:id:t-yosh:20181017032003j:plain

土台はこのようになっております。

 

f:id:t-yosh:20181017032136j:plain

ネジを外すとコネクタが見えます。

 

f:id:t-yosh:20181017032038j:plain

さらに分解するとこんな感じです。

f:id:t-yosh:20181017032311j:plain

コネクタを分解すると、モジュールとコードになります。

 

f:id:t-yosh:20181017032419j:plain

コード側にはヒューズがあり、保護されています。ヒューズ側のカバーを外すとヒューズが見えました。

 

f:id:t-yosh:20181017032537j:plain

本体とのジョイント部品はモジュールの様です。

Otter ® と書いてあり、検索すると以下が出てきます。

f:id:t-yosh:20181008171947p:plain

http://www.ottercontrols.co.uk/index.htm

アライグマがかわいい。このメーカのモジュールが使用されているようです。

CS7 というコネクタが使われていますね。

 

土台側はこれでおしまいです。

また近日続きを公開します。

 

 

電源 RD DPS3005

f:id:t-yosh:20181005145612j:imagef:id:t-yosh:20181005145619j:imagef:id:t-yosh:20181005145625j:imagef:id:t-yosh:20181005145632j:image

電池を使ったデバイスを作っていて、電池が消費されて電圧降下起こった時の動作を見る場面があります。今まで使用済み電池でやってたんですが、結構大変になってきたので、電源を導入しました。

電源は一般的に結構ごっついイメージを持ってたんですが、これは小ぶりのものでAliexpressで54ドルでした。電源は入力端子が付いてるだけだったので、千石通商で買ってあった12V ACアダプターを使います。

この電源、安いだけあって自分で半田付けも含めて組み立てするんですが、チュートリアルで手順を確認できたので、半田付けそうやってるんだ、みたいな感じで参考になりました。

 

https://youtu.be/ENZg4yTjhnY

 

今のところ役には立ってますし、作りもそんなに悪くない感じかと思います。