AXIS 人とテクノロジーの未来
昨日、AXISのイベントに参加してきました。山中俊治さん x 寺尾玄さんの対談です。
2017年4月に寺尾玄さんのAXISのイベントにも行っていたのですが、あれから1年半も経ってしまったのにビビりました。振り返ると時が経つのは早いものですね。
山中俊治さんは本で名前を知っていて気になってたのですが、寺尾さんよりもさらに先輩でした。
題目は「AIとテクノロジーが未来」でしたが、実際にはAIの話なんかは挙がりませんでしたね。
寺尾さんの話での印象ですが、まずバルミューダの会社体制はかなり安定してきたんだなという印象を受けました、前回は会社としての体制を整えることに注力している感じでしたが、今回は会社の社会的意義や果たすべき使命のような話の印象が強く感じられました。
挙がった内容で面白かった話
< 結局 BALMUDA トースターは何だったのか?>
トースターの訴求として、最高のトーストを食べたいですか?という体験を全力で前に
押し出した販売戦略をとってきて、今もその思いは変わらない。
じゃあ、逆にトースターという商品は何であったのか?
これはトーストを最高においしく食べる方法を開発した、という経験だった。
体験を作りだす方法を開発するという考えは、油断すると手段が目的になることがあるので、心構えとして良いなと思いました。
<日本の大企業病>
安定して生産できる堅牢なシステムがメーカにはすでに出来上がってしまっている。そのため、新しい技術をそのシステムに乗せようとしても、失敗を許さないシステムにより、自由な発想での挑戦ができない。これは日本の老舗メーカーの現状。
ダイソンにその話をしたら、大変驚かれて、失敗しなかったらいい製品作れないじゃん、と言われたそうです。(山中さんからのお話)
<量産という仕組み>
現代は量産する手立てが色々ある。これはある作品がより多くの人を感動させることができるために非常に有効な手法として存在する。
多くの人に価値を提供するために最適な方法。感動を再現できるということで価値が世間に広まっていく。
<再現性>
量産という手法で価値を再現してユーザに届けるのだが、再現性というところはモノづくりの上では100%はありえない。90%がせいぜいだということ。研究であれば100%を求めると無限に研究できる。
例えば、トーストを買ってきても、密度や水分量が異なっていたりして、全く同じものがそもそも世間に売っていない。なので、色々なパラメータを決めるとき、制御できる範囲、できない範囲をわきまえて、必要十分なターゲットを決めるのは大事。最後を決めるのは人間の感性。
ものづくりは、最終的には感性でものごとが決まるのだが、最高の感動を求めるには科学による検証が必要なんだ。という話が印象的でした。
現象に対する理論や原理を勉強した上で、可能性のあるパラメータをいくつも検証していく。科学に基づいた検証により、感性に響くものを追求していくプロセスによって良い製品ができる。
<インプット>
山中さんは、モノをよく観察することは気を付けている。普段見るだけでは細かいところまでは観察できない。スケッチすることで、モノを細部まで知ることができるので、スケッチはものを記憶するためには非常に良いツール。
寺尾さんは、インプットは意識的にそのために何かはしていない。毎日を全力で生きることが大事。道を歩けば、様々なものを見ているので、何かしらインプットがあるのは間違いない。大事なのは生活の中での違和感をキャッチし見逃さないこと。