t-yosh’s blog

元ソフトウェアエンジニアが、モノづくりについて学んでいるブログです。モノづくりに必要なハードウェア・ソフトウェア・デザインのことを書いています。

材料の基礎とテスト関連のセミナー

プラスチック材料と検査関係のセミナーに行ってきました。

プラスチックを使って製品開発していく上で、問題が発生したときにどう対応していけばよいか、ということをイメージして受講しました。

題目としては以下です。

・プラスチック材量の基礎

非破壊検査について

・プラスチック材料の接着と接着状態の試験について

・材料分析について

備忘のため、ポイントをまとめておきます。

プラスチック材量の基礎

プラスチック成型材料の分類や特性、強度特性のテスト方法、欠陥調査の方法などについて。

<プラスチック材料とその分類>

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 ↑ 樹脂材料の分類 https://www.ipros.jp/technote/basic-engineering-plastic/

 ・熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂。熱可塑性樹脂はチョコレート、熱硬化性樹脂はクッキーという例はわかりやすいですね。成型後に温めるとまた溶けるのか、そうでないのかの違い。

 ・汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックの違い。耐熱温度や強度が高い順にスーパーエンプラ、エンプラ、汎用プラ、とのことです。エンプラ以上は機構部品に使われたり工業用途だそうです。汎用エンプラは具体的にはPE,PP,PS,PVC,ABS,PMMAなどを指すようです。

 ・世の中にあるプラスチック製品は熱可塑性樹脂が全体の90%を占める。そのうち、汎用プラが80-90%、エンプラが10-20%、スーパーエンプラ数%、だそうです。ほとんど熱可塑性樹脂の汎用プラなんですね。

  ・プラスチック素材は単体のものに添加剤などをブレンドして用途にあった素材にしていくそうです。分類としては重合反応で分類していくそうですが、要はくっつける反応をさせて組み合わせていく、ということの様です。

各素材の特性なんかはネットに色々情報があります。

汎用プラ   http://www.sks.co.jp/business/japan_synr_qj_hc_fy.shtml

汎用エンプラ https://www.ipros.jp/technote/basic-engineering-plastic/

<材料試験>

素材自体の試験としては、静的試験、衝撃試験、クリープ試験、疲労/振動試験、動的粘弾性試験があるようです。

静的試験と衝撃試験がメインの試験で、荷重をかけた際の引っ張り・圧縮の特性試験を行い、ひずみに対して応力がどうなっていって破壊されるのか、ということを確認するとのことです。例えば棒のようなものを作って、それを曲げていった時に、ぽきっとおれるのか、ぐにゃっと粘るのか、といったことを確認するそうです。

非破壊検査について

材料欠陥を検査する際に使用される非破壊検査の種類についての講座です。品質管理や受け入れ検査、使用中の保守管理にこういったテストが利用されているようです。実際の製品つくりでは、初期ロットの故障の解析や経年劣化でどのように物性変化したのかを特定するのに使用できるテスト方法です。予防保全の基本は非破壊検査との説明があり、傷の状態を検査できるというのは信頼性を上げる上で必要な方法とのことです。

非破壊検査は、物質の物性的変化を検知するというものになるようですが、そのあたりの話は専門的なので、非破壊検査法の種類だけメモしておきます。

非破壊検査法のいろいろ

・超音波探傷法

・AE法

・電磁波法

・渦流探傷法

X線透過法

・赤外線サーモグラフィー

・目視検査(ファイバースコープ

・光干渉法(ホログラフィー

・浸透探傷/蛍光探傷

・磁粉探傷

・漏れ検査

沢山あるので、紹介できませんがそれぞれの原理とかちゃんと見ていくと結構興味深いです。

プラスチック材料の接着と接着状態の試験について

接着の技術は最近進んでおり注目すべき領域だ、と話していました。自動車部品にも構造用接着材を使っているという話もありますし、確かに面白いものがあるかもしれません。(参考 http://www.aisin-chem.co.jp/technology/adhesive.html)導電性接着材などの機能性接着剤などは新しい接着として注目されているそうです。

こちらの講座では、接着の原理から、前処理の重要性、異種材料の接着例などを紹介してました。メモとしては、接着の際は表面処理が重要でこの表面にたいして洗浄や加工などをすることで接着の品質に差がでるというところです。表面の清掃が重要とかは当然でしょうが、化学的に接着できるような変化を接着面に施す、機械的に加工を施すなど、これまた奥の深い世界だなぁと思いました。

接着面に対するテストに関しては以下の図のようなものがあるようです。

f:id:t-yosh:20171221193948p:plain http://www.toolfirst.jp/chishiki/shiken.htm

このあたりは、接着の信頼性を確認する際に役に立ちますね。

接着の基礎については以下で紹介されています。

セメダイン  接着基礎知識

 http://www.cemedine.co.jp/basic/index.html

スリーボンド 接着の基礎について

 https://www.threebond.co.jp/ja/technical/seminar/adhesion.html

調べていて思ったことですが、もともとカーボン系の材料で軽量化させるために進んできた構造接着に関して、これまでの溶接などのピンポイントの接着に比べ、点ではなく面で接着できることで剛性や耐久性での優位性がある。という点は車に限らず設計するうえでの接着剤の使い方として頭にいれておいてよさそうです。

(接着技術を知らないと軽量化設計は限界を迎える http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/415543/040300070/?P=1

材料分析について

使用されている材料を調査する方法についての講座です。例えば、競合製品の調査でどんな成分で構成される部品なのかを調べたり、問題を起こしたパーツに対して樹脂の選定ミスで強度が足りなかった、耐候性が悪く長期利用でもろくなった、混入した異物の特定、などの分析ができるそうです。

分析手法には、破壊検査も含まれており、検査を行う際にどういった検査を組み合わせて特定するのか、といったテスト設計も重要だそうです。

分析手法として挙げられていたものをメモしておきます。

フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)

・ラマン分光分析

・ 核磁気共鳴分析(NMR)

ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)

・液体クロマトグラフィ質量分析(LC/MS)

・サイズ排除クロマトグラフィー(SFC)

マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI-MS)

・蛍光X線分析(XRF)

X線回析(XRD)

X線光電子分光分析(XPS)

・熱分析(TG, DTA, DSC, TMA)

電子顕微鏡(走査型、透過型)

など