電池を使った製品の注意点(電池室の設計)
製品を作ろうと思ったら、電源が電池になることってよくあると思います。
自分も電池を使ったものを作っているのですが、電池の逆差しについて調べたことを書いておきます。自分のためのメモですので、参考にする際はご自身できちんと調べたりテストしたうえで実行してくださいね。
(注:万が一、逆装てんしてしまっても、それほど電流の流れない単三、単四を2本程度のものを想定して記事を書いています。リチウムイオンなどの二次電池での対策は他を参考にしてください。)
基本的な考え方としては、以下のようなことかと思います。
(1) ユーザが間違うのを防ぐ
(2) 逆にさせないようにする
(3) 万が一、逆装てんされて導通した場合に保護する
設計の指針としては、一般社団法人 電池工業会に参考情報がありました。
ホームページに以下のドキュメントがあり参考になります。
乾電池使用機器の電池室・端子部の寸法設計指針
http://www.baj.or.jp/frombaj/anzen-guide090430.pdf
それぞれについての対策の例です。
(1) ユーザが間違うのを防ぐ.。
まず、間違いを防止することですが、見覚えのある電池マークですね。
世の中の製品を見ると、電池マーク、プラス端子、マイナス端子、電池の向き、電圧などを刻印してユーザに指示する例が多いですね。手元のElecomのマウスはプラスチックシートに印字してあります。(このシートは電池を取り出しやすくする目的でもあります。)いくつか製品を見ると、電池の絵は必ず入っているような状況ですので、常識として示すのが当然ということだと思います。
電池工業会のドキュメントでは、もっと詳細に説明することを推奨しています。
(2) 逆にさせないようにする
こちらは逆装てんの場合に物理的に端子に触れないようにするという対策です。
設計のパターンはドキュメントにある以下の例が参考になります。身の回りのものは以下のパターンのどれかで対策してありました。
(3) 万が一、逆装てんされて導通した場合に保護する
逆装てんされた場合に、問題のない回路設計にするということです。以下のような対策があるようです。
・回路を保護するために、ダイオードで電流を逃がすルートを確保する。
・ヒューズやポリ抵抗で一定の電流以上ながれたら遮断する。
・保護機能付きの電源ICを使用する
通常使用時に電池を消費しないか、過電流時に保護回路が作動するか、部品点数が増えコスト増、など設計、導入には注意が必要ですが、逆装てんがクリティカルになる場合は必要な設計です。
保護回路に関するリンク
その他
ドキュメントにはスパイラルスプリング使用時にスプリングをつぶして電池の被膜を破ってしまう事故防止などもありました。この点には気づいてなかったので、ドキュメントを読んでためになりました。
色々な事故事例が載っているので、一度読んでおくと事故防止の参考になると思います。
おまけ
電池の取り出し部分のサンプルです。色々工夫されてますね。
・Elecom マウス
最近、電気屋さんで見ているとこのパターンが多いです。確かに電池取り出しの時、便利です。電池の端子は板バネ端子、リブタイプ、で逆装てん時の導通を防止しています
・Logicool マウス
これはシンプルな感じです。電池マークの刻印、スパイラル端子のつぶれ対策、プラス端子は凹になっています。シールで刻印が隠れてしまっているところは気になります。
・Toshiba リモコン
これは基盤に電池マークが印刷してあって、結構強引だと思いましたが、金型側がただの穴になっているので、筐体に刻印するよりもコスト高価は高く参考にしてみようかと思いました。スパイラルのつぶれ防止もしてありますね。
・Kenwood リモコン
こちらは10年前くらいの製品なのでシンプルです。スパイラル端子のつぶれ防止はないですね。プラスのほうは凹になっています。
・任天堂の電池ボックス
電池端子が特徴的です。振り回して使う用途なので、良く固定されるような配慮だそうです。